Processed seaweed products of Sanriku using “bounty from the sea” and “experience and skills”

Ichiban places priority on producing food items that are healthy, such as tororo-kombu(paper-thin kelp shavings) and furikake(seasoning mix for rice) that mainly use seaweed cultivated along the Sanriku coast. The company delivers the taste and flavor of nature along with seaweed products rich in nutrition.

Taste and materials

Kelp seaweed is obtained from several different areas and blended together to produce an ideal balance of quality, cultivation area and harvest time.The company’s experience and skills gained over the years are the key to producing tasty food items.

Taste and materials

Equipment

Materials including Sanriku kelp are kept in a storage area that has strict temperature control and is managed in a hygienic environment.
The company routinely has a stock of 50 tons seaweed.

Equipment

仕事人

原料は、
「海の恵み」と「経験」。

株式会社一番 工場長 畠山寿典

昆布を見極めて、
おいしさを引き出す仕事。

とろろ昆布って、どのような工程を経て、昆布から「美しい薄緑色のふわふわ」に姿を変えるのだろう。常日頃、ずっとそう思っていた。
そんな疑問を抱えて訪れたのは、気仙沼でとろろ昆布やふりかけ、佃煮などの海藻加工品をつくっている株式会社一番。迎えてくれたのは、工場長の畠山寿典さんだ。
海に近い住宅地のそばにある2階建ての本社・工場。まずは2階に案内されると、そこはしっかりと温度管理された原料保存庫で、干した昆布の大きな束が山積みされていた。入札によって仕入れた昆布が、ここに常時500トン保存されているという。
昆布の主たる仕入れ時は、秋。「9月から11月にかけて、どれだけいい昆布を仕入れられるか。そこが鍵です」と畠山さんは語る。
庫内に積まれた昆布をよく見ると、山ごとに青森、岩手、宮城など、異なる産地が記されていた。「各地の昆布をブレンドすることが、おいしさをつくるひとつのポイントなんです」と畠山さん。しかし、その配合のためのレシピはない。収穫地や時期、昆布の状態などを見極めて、畠山さん自身が判断する。味わいはもちろんのこと、とろみ加減も昆布の選別でちがってくる。
入社以来20数年、昆布と真正面から向き合って培われた眼力。これぞ職人技である。

おいしさが積み重なる。
まるで、昆布のミルフィーユ。

1階へ案内されて工場に足を踏み入れると、ほわ〜んと、とろろ昆布のいい香りに包まれた。食欲をそそる香り。同行したスタッフが「この匂いだけでごはんが食べられます」と喉を鳴らす。
広い作業場での最初の工程は、畠山さんが選別した各地の昆布を、調味液に浸し、やわらかくすること。そのあと砂取り機で表面をきれいにし、圧縮機に2度かけて、昆布のブロックをつくる。およそ65㎏、大人の男性一人分もの大量の昆布をぎゅぎゅっと圧縮し、端々を電動カッターで切り落とし成形すると、小さな旅行用スーツケースほどのずっしり重いブロックができあがる。何百層もがぎっしり隙間なく積み重なるその断面は、例えるならば、”昆布のミルフィーユ“である。
いよいよ、この固まりがスライサーにセットされ、とろろ昆布へと姿を変える。美しい断面を上向きにしてがっちり固定し、その断面を幅広の鋭利な刃がゆっくりと往復する。カンナで木材を削って薄皮をつくる作業みたいだが「削るというより、掻く、というイメージです」と、畠山さんは説明してくれた。数秒で1枚、また1枚、極薄のとろろ 昆布がふんわり積み上がっていく。その間、畠山さんの目は、往復する刃に釘づけ。と思うと、ふと、スイッチを止めた。「スライサーの刃は、頻繁に取り替えるんですよ。これを怠るといい商品はできないので」。ひとつのブロックがなくなるまでに何度も刃を取り替え、研ぐのだという。
とろろ昆布づくりは、想像以上に繊細で奥の深い作業だった。熟練の技に脱帽。それでも畠山さんは、「日々、発見。勉強です。わかったようで、まだまだです」と、20数年の経験を持ちながら、謙虚な姿勢をくずさない。そして、「会社を大きくするために、みんなで頑張りたい」という言葉も。
一番のとろろ昆布の一筋一筋に、畠山さんの技や、思いや、人生が込められている。あれから、とろろ昆布を見るたびに、気仙沼のことを思い出す。海の幸に、技に、感謝。今日も、おいしくいただきます。